届けぬ思い −Nobody knows "I was loving you"−
こうして雨降る街で煙草をくゆらせて、
一人で君の誕生日を迎えるのは何度目だろう
君の17回目の誕生日が、
僕が人と一緒にその日を迎える最期だった
ネオンサインは0時を過ぎても輝いていて
一人でブルーになるには街は明るすぎる
かといって暗い街を探せば
「それは田舎じゃないの?」と君に笑われてしまうかもしれない
君の年齢の数だけの薔薇を買って、
君が消えたあの海に行って
漆黒の水に薔薇を投げ込もう
海の見えるレストランで
二人分の席と、二人分の料理を用意して
誰もいない正面の席と
乾杯のグラスを空振りしよう
夜半過ぎから振り出した雨をものともせず、
君が好きだった洋服を着込んで
ずぶ濡れになるまで一人で街を歩こう
AMラジオを君の誕生日にチューニングして
聞こえてくるはずのない君のDJと
"Happy birthday to you"を口ずさもう
すべて僕の気持ちを伝えない為に
この思いが君に届かないように
僕の行く宛のない思いを静めるために
届けぬ思い
こうして雨降る街で煙草をくゆらせて、
一人で君の誕生日を迎えるのは何度目だろう
ネオンサインは0時を過ぎても輝いていて
一人でブルーになるには街は明るすぎる
かといって暗い街を探せば
「それは田舎じゃないの?」と言ってくれた君は
もう、いない。
98.12.5 in da house