秋元氏との接点はあまりにも少ない。彼はW大学を経て大学院へと後に進む。マジシャンとして生計を立てるかどうかを悩んだ末に大学卒業時には結論が出なかったので大学院へと進んでいる。他にも理由はあるのだろうが・・・
一方の私ははじめて間もない、まだ二年程度のマジックにかけてみようと高校を卒業する時に、さっくりと進学を捨てている。学歴という意味ではまったくもって環境が違うのだ。
性格的にも、昔の(今も?)秋元氏はとっつきにくい性格だった。自己と他人との間に明確な線引きをする。極端に言うと「人はどうでもいい」的な雰囲気を醸し出しているような覚えがある。孤高の人、といえば聞こえがいいものの単なる接し下手ともいえるか。かくいう私も秋元氏とどんな形であれコミュニケーションを頻繁にとるようになるとは当時、まったく思っていなかったのである。
いつか聞いた覚えがあるが、これは秋元氏も一緒だったらしい。
いわば、水と油な二人が接するようになったのは、六本木時代を経てからという事になる。
ウイザードインはマジックショップとして、マジックを見せる店舗経営、テレビ番組制作会社等など、時代に応じて大きく変化を続けている。六本木時代というのも、これもそんな歴史の1ページだ。
六本木駅から防衛庁と反対方向に歩いていくと、六本木ロアビルなるビルがある。この交差点から左に少し入った場所にある雑居ビルに、今から7年ほど前になるか、マジックを見ながらお酒が楽しめるというお店があった。「ウイザードインZ」というその店には夜な夜なマジシャンがいたわけで、そのメンバーになっていたのが私と秋元氏である。
当時、そういったお店でマジックを見せられるだけの技量を持ったマジシャンは今以上に少なかったのである。
当時、朝まで営業していた六本木で深夜帯に担当することが多かったのが、私と秋元氏であった。なんでこんなに多かったのか良く覚えていないのだが、記憶が間違っていなければ、当時の店に出ていたメンバーは全員で4人ないしは5人しかいなかったので、まあよく一緒に入るのが多かったというのは当然だろう。
この店で過ごす時間が、秋元氏との進行を深めたような気がする。それもそのはず明け方まで必ず客がいる訳でもなく、もし客がいなければ、その間は部屋に二人しかいないのである。よっぽど仲が悪くない限り、話くらいはするというものだ。
趣味は決して合わないのだが、映画好きというのも功を奏した感がある。中でもジャッキーチェンと、007シリーズの両方とも好きだったというのは重要なファクターといえる。こうして秋元氏との関係を築き上げていく中で、私自身もまた彼からいくつもの影響を受けていくのである。性格的に決して仲良くなれないと思っていた当時、水と油な関係なのだ。事実、今でも私は、斎木創と秋元正は「油と水」の関係だとも思っている。
しかし、この「油と水」には見落とされている部分があるのだ。