水 18 9月 2002
先日から月に一回のペースで数名のマジシャンと「ぺーはー友の会」なるグループ活動を開始した。この会では、それぞれが持つ目標もしくは目的に対し、一回4,5時間を費やして個々のマジックの力量をアップさせようという目論見がある。
その中で話した内容にマジックを覚える際の目標と目的意識の確立という話があった。
マジシャンとして演技を上達させる最大の力は「経験」である。と考えられている。1年しかやっていない人よりも10年の人の方が経験は多いというのが一般的な話だ。しかし、これではマジシャンは長くやらなければいけない事になるし、長くやっていなければ凄いマジシャンになれないということになり、ちと話がおかしくなる。実際、10年やっていてもロクでもないマジシャンは山のようにいる。また初めて1年そこいらでも優れた演技を見せるマジシャンもいる。
私自身の経験からすると、明確な目標があるというのは非常にわかりやすい、また、自分自身の目標を「いつ」までに「どこまで」できるようになっているか、と考えるのがベストである。
私がマジックを始めたころ、私には同世代に二人のマジシャンがいた。二人ともそれぞれにすでに長いキャリアを持っていた。そこで私が立てた目標は高校を卒業して4年のうちに、その間に彼らが成長する分を含めて追いつくように努力するというものだった。
期間と目的を持つということは、自分の練習に対して意味が生まれる。「誰々さんのようになりたい」という目的を持つ人は多いが、そこに「いつまで」という時間的な制約を設けることによって、毎日の練習の密度が変化する。
私の場合は、対象とした人、すなわちライバルがすでに5年以上のキャリアを持っていたので、彼の5年に以降の4年を加えた、彼の9年の経験を4年で習得するという非常にきついノルマを課した。
結果として、私の毎日は密度の濃いものになったし、マジックの大会などでもそれを反映するような結果を出すことができた。これはマジックの上達に一定の時間が必要なのではなく、自分の考え方と意識一つで時間というハンデはいかようにも埋めることができるという事の証明にもなっている。
目標と目的意識は人を対象にするだけではない、自分がこういうマジシャンになりたいと考え、その目標に対する期間を決めればいいだけである。メンタリスト、カードマジックのスペシャリスト、ステージマジシャン、目標は一つだけでなくてもいい。ただ、目的を考えるときに、そのマジシャンにあこがれる必要はないが、技術力などにおいて明確な目標は、対象を人にしたほうが分かりやすいかもしれない。
目的意識は重要である。繰り返すが、「いつ」までに「どうしたい」と考えることを、是非理解してもらいたいものだ。