木 14 11月 2002
ショーやプライベートでマジシャンではない観客にマジックを見せていると、意外と多いのが「マジックの現象って目の錯覚なんでしょ?」というご意見だ。昔は「タネ(もしくは仕掛け)があるんでしょ」の方が多かった気がするのだが、ここのところ、前者をよく耳にする。
辞典を出すのが面倒なので、goo【国語辞典】を引用すると
さっかく さく― 【錯覚】
(名)スル
(1)事実とは異なるが、そうであるかのように思うこと。思い違い。勘違い。
「まるで外国へ行ったような―を起こす」
(2)〔心〕 あるものについての知覚が客観的事実と著しく食い違うこと。→幻覚
とある。つまり、目の錯覚というのは、目が事実とは異なるものをそうであると思い込んでいる。という意味合いになる。おそらく観客の言う錯覚はこれを指しているのだろう。
私はこれを非常に興味深く思った。果たしてマジックは目の錯覚なのだろうか?という事である。
私にとっての答えは「NO」である。おそらく皆さんにもそれぞれの答えがあるに違いない。私のマジックにおける錯覚の答えは以下のとおりである。
観客が見ているマジックの現象は、その瞬間、そこで起きている間違いなく現実のものである。つまり、錯覚ではないということだ。しかし、同じ時に、同じ物を見ているマジシャン側の現実とはイコールではない場合がある。つまり、マジシャンと観客では見ている現実が異なるのだ。
その差はマジックによって様々な要因がある。技術、ネタ、仕掛け、角度・・・言い方は色々あるだろう。このマジシャンと観客それぞれの現実の誤差。これが「マジック」であり、観客における「錯覚」となる。
なので、観客の思い違いでもないし、勘違いでもない。観客が見ているものは紛れも無い事実である。という事で、私はそれを錯覚と呼ぶのは難しいのではないかと考えている。
この話は、マジシャンや小難しい話が好きな人には非常に受けるのだが、ここを読まれている読者はどうだろうか。