水 27 7月 2005
単発の営業は相変わらず頻繁に行っているのだが、これに加えて6月から横浜でレギュラーのショーを始めている。単発の営業を行っていた時よりも他のマジシャンに接する機会が増えているし、増やすように努力している。
マジシャンにとって一番危険な状態だと自分が感じるのが、自分の考えを反響させる場所がないことだ。自分の持っている考えや、今行っているルーティン、見せ方、話し方 etc…最終的に今の自分が正常な位置に立っているかどうかは観客の反応から導くのが答えにはなるものの、他のマジシャンとそういう点で交流を持つことは重要な気がする。
現在32歳。もっとも困るのはダメ出しをしてくれる人が減ったことだ。若手が増えてきたこともあり、若手と接する機会は以前よりも増えているが、彼らには私の演技にダメ出しを出来る度胸がない。この度胸は経験と歴史に大きく左右する。もうひとつが、彼らはマジックのダメだしは出来るが演技のダメだしは出来ない。それは覚悟がないから。覚悟とは、そのマジシャンに与える影響力に関係している。
ちなみにダメ出しが出来る関係というのは、相手のマジシャンに対する信用がバロメーターになっている。信用の意味合いは様々だが。相手の技術や姿勢、方向性に対して責任をもてる範疇でアドバイスをする人と、相手のレベルや経験、マジックに対する姿勢を含めリスペクトしている受け手がいて、はじめて成立すると思われる。
たとえば、自分より権威のある人、知名度の高い人というのは掃いて捨てるほどいるわけだが、その人達のアドバイスの全てを受け入れるかと言われれば、答えはNOだ。
全員がそうだと言っているわけではないが、私の接した方々の中には、アドバイスの姿勢に疑問符を持たざるを得ない人がいた。例えばその人をA氏としよう。
A氏はそこそこの権威もあり、弟子もいたり、いなかったりする。マジック業界での知名度は高いので様々な人に演技やマジックに関するアドバイスをしている。ところが、こういう人によくあるのが、アドバイスの方向性が、A氏の持っている枠にはめこむようなアドバイスが多い。
つまり、彼のアドバイスはA氏になりたい人なら、それは素敵なアドバイスに違いないが、そうでない人から見えればいらんお世話だったりする。
アドバイスは答えを教えてあげることではない、というのが私の持論だ。あくまでも、その人が考える上での補助的要素が強い。A氏が「それは私ならこのような解決方法をする」と指摘すればいいが「それはこうやるものだ」と指摘するならば、これはアドバイスよりももっと強い意味合いになる。
最終的に、どういうアドバイスを求めているかは、個々で異なるために、アドバイスはこうあるべきだという考え方は危険だし、前項の説明に反する点が出てくるので結論はないのだが、アドバイスをする側は、その責任の大きさを認識して言葉を発するべきだと考える次第である。
以前のコラムからも時折でてくる話だが、あらためて自分の考え方を確認するために記しておく。