マジックの大会なども大会場になると、そうに応じて色々な諸問題が出てきます。
分かりやすいことで言えば映像面ですよね。大人数でクロースアップマジックとなると、
むろん、一般の方が想像するよりもかなり多くの観客に見せることが出来るのですが、
それにも限界や制限があります。

その為、テレビカメラなどの映像は非常に大事になってきます。これは大会場のモニターだけでなく、たとえばテレビ番組などの場合でも大事ですけどね。大会場でいえば後ろの方のお客様にとっては、ステージではなく画面を見る訳ですから、この映像がその場面ごとに適切な映像を映していなければ、どんなに面白いマジックも効果半減です。

しかし、このマジックの映像というのは非常に難しいのです。
なぜなら、マジック特有の突発的な驚き、つまりエンディングに起きる予想もつかない現象というのが関係してたりします。

たとえば、1組のカードの中からカードを引いて、覚えてもらって戻してもらいましょう。このカードを良く切って指を鳴らすと、テーブルの端に置いてある鍵のかかった宝箱から出てくるなんていう場合、
演技を知らずに演技を映していれば、当然の事ながらカメラの映像は手元によっていきます。しかし、演技自体はもっと広い場所を映して欲しい。いざカードを出そうとした時に、宝箱に映像がいってなければ、こりはどうしようもないです。

マジシャンはある域に達すると、大抵の演技が次にどのような動きが行われるかが、六感的な感覚で分かります。それは自分のボキャブラリーや、過去の見てきた記憶の中から想定されるのです。

あ、今度は何かをポケットから出すのかな、とか
さっきあそこに置いた何も入ってない封筒の中から何か、とか

だから、演技の中で現象が起きる数秒前に、その演技が取り易いような状態にカメラマンへの指示が出せるようになるのです。これは本当の話。

(99/8/02追記)
ちなみに国内で放送される超能力系のテレビ番組などの大半は事前にリハーサルを行って、どこでどんな現象がどんな順番で起きるかを事前に打ち合わせしています。無論、円滑に番組収録を進めるためには必要な手順ではあるのですが、これには大きな問題もあります。

マジックの現象がインパクトがあって、驚けるのは、自分で見て脳が反応するからという理由があげられます。無論、それだすべてではありません。

全てを打ち合わせたカメラマンが撮影をすると、これから起きる現象をしっていますので、カメラマンはあまり驚きません。つまり現象とテレビの前の視聴者の間に「全てを知っている人」というフィルターがかかってしまうのです。

感覚的なものなのですが、ある程度は知っていても大事な部分は知らないで、カメラマンも驚くというのは、臨場感のあふれるマジックの映像がブラウン管に届くのです。

この手法を利用していて非常に人気が高かったのは今から6年ほど前にCATVのスペースシャワーTVの番組「BUM-TV」の1コーナーであった「WIZARDS INN」というコーナーです。

無論これは、マジックの能力だけでなく、カメラの映像そのものをある程度知らなければ行う事が出来ないというのが難点です。マジックしっていてもカメラがどう動けばどういう映像が撮れるか知らなければ、鬼に酢昆布みたいなもんです。

映像に残すマジックというのは、実は非常に難しいという講釈でございました。