知っている人は知っているのだが、私は大のプロレスファンである。そんなこともちと関係しているのだが、昨今のプロレス界では最近、次世代を担う超大型新人というのが、ようけ出ている。さすがに世紀末という事なのだろうか21世紀を代表するスター選手候補は、この時期に出揃うのが世の常ということになる。ミレニアム万歳というところか…

具体的な名前を挙げるならば、アルシオンの浜田文子(グラン浜田さんの娘)とか、同じくアルシオンの秋野美佳、Jd’の神田奈々子、LLPWの八木淳子など…おそらく、ここをご覧の方の多くは知らないだろう。

無論、新人というのはイツの世にも出現する訳だが、この四人はちと違う、実力的にはまだまだではあるが、デビュー戦で観客に「をを!」と思わせたり、入場シーンや、マイクアピールが新人離れしていたり、とにかく度胸がある。という意味で、この四人は女子プロレス界でも注目度の高い新人なのである。

一昔前の・・・そう、まだ全日本女子プロレスしかないころの、新人のデビュー戦といえば、こりはもう、惨澹たる試合だった。観客だって、ついつい温かい目で見てしまう。ようは、「これから頑張るんだよ」系の試合になってしまうのがもっぱらであった。ここのところは、そうではなく他のベテランの試合に優るとも劣らない試合が見れる時が出てきたのである。

で、この話が何に繋がるかというと、最近、マジシャンの世界においても若い世代がマジシャンになりたいという夢を抱えて、私の師匠のところの門を叩くケースが増えている。世代で言うと小学生くらいから大学生くらいまでの年頃だろうか。これは、本当にここ数年の話である。元来、芸事の世界なんてのは目立つスターが存在しなければ発展はありえない。憧れるスターがいるからこそ、それを目指して、その世界に身を投じる人達が出てくるのである。

それぞれのマジックの団体は、それぞれにスターというか、看板マジシャンを抱えている筈である。この看板の魅力が、すなわち団体の発展や、新しい裾野の開拓に関係する。ここでいう看板というのは、いわゆる師匠を指していない、年食ったじじいに憧れて入る人なんてのは、実は希少価値的存在である。

その師匠が全盛であれば、話が別だが、ある意味で一線を退いている以上は、その人に対する直接的な憧れではなく、
素晴らしいマジシャンを育てた名トレーナーとしての憧れ、すなわち間接的な憧れ出る事の方が正常である。つまり、この人に師事すれば、努力すればきっと素晴らしいマジシャンになれるという希望を与えてくれる人ということになるだろう。

年食ってんのに、いつまでも現役を通しているぢぢいの場合、この人は素晴らしいけど、では、この人は下を育てる能力を持っているのだろうか?という猜疑心は、どうしても存在する。よって弟子が付く事になったとしても、結構うまくいかないパターンもあったりする。言い方を変えると、弟子とはいえ育ってしまえばライバルである。自分が現役である限り、人を育てる、という点に関しては自分のポジションというのは、非常に微妙である。自分の食い扶持を奪う可能性を自ら作るなんて言うのはなかなか酔狂な話である。だからといって完全に引退してはいけない、しかし現役バリバリでもいけない、このバランスは、おそらく自分がその歳になって、そういう立場にならないと、分からない話かもしれないな。うん

話がそれた。

最近のマジック界における新人を批評する程の権限も何もないのだが、どうもここんところの新人には

パワーを感じない時が多い

自分の将来を成型することができるのは、自分でしかない。こんなことは初めから分かりきった事なのである。その割には、師匠とかに甘えてしまって自己鍛練が弱かったり、アピールとか積極性が弱く見える。それは練習してるかどうかという問題ではない。

1日24時間しかない自分に与えられた時間を、自分が世界で名を残せるようなマジシャンになるために使っているのか?という話である。いい方を変えれば、プロマジシャンに向けての修行をしているだけ、そういった一流の中にいるだけ、マジシャンを目指しているという意識だけ、ただそんだけで、

満足してないか?

という話である。

女子プロレスを例に挙げたのは、そこの差を感じたからである。彼女たちは、デビューはしたものの、まだ実力的にはまだまだである。しかし、デビューした以上は、彼女たちはすでにプロレスラーであり、彼女たちの試合を見るために、数千円、数万円の金を払って試合を見に来る観客が、そこに存在している訳である。彼女たちは、そこが理解できている。だから全てにおいて一生懸命にするのである。ただ、一生懸命するだけではない、あくまでもプロなのだから彼女たちは自分を大きく見せる。観客に驚きと感動を提供する。慰めや、同情の視線を求めていない。

無論、彼女たちは思い上がっている訳ではない、今現在、自分達が出来る最大限の力を、最高のエンターテイメントとして見せる事に一生懸命なのである。だから、観客達はその一生懸命なエンターテイメントに酔いしれ、感動する事が出来るのである。新人故の弱さが甘えにならない、それが新人に必要な事ではないのだろうか?

この話は、どこの団体とか、誰とか、という話ではない。実際のところ、マジックに限った話でもないので注意して欲しい。こういう話書くと

「さいかさん、昨日の日記って僕ですかぁ?(泣)」

とか、誰からか言われそうで、ちと恐い。そんな時の私の答えは至ってシンプルである

「みんな、だよ」